障害年金を受給するために
初診日の要件
障害年金の請求では、障害の原因となった傷病で初めて医師の診察を受けた日(初診日)に年金制度に加入していることが必要となります。
また、年金制度に加入していない20歳前、国民年金の加入を終えた60歳~65歳の期間(国内居住要件が必要)に初診日がある方は、国民年金に加入中と同じ扱いとなります。
※初診日を証明できること
障害年金の請求では、初診日を特定し、原則、その初診日の証明書である受診状況等証明書を取得することが必要となります。
特にうつ病等の精神疾患による障害年金の請求においては、初診日から年金を請求するまでの期間が長期にわたることが多く、その間に初診の証明のためのカルテが破棄されていたり(医師法のカルテの保存期間が、最終の受診日から5年と定められています。)、初診にかかった医療機関が廃院となっていたりしいて、初診日の証明を取ることが困難となるケースが少なくはありません。
初診日の証明が取れないと、障害年金の請求自体が進められなくなりますので、そんな時は、病院のケースワーカーさんや障害年金を専門としている社会保険労務士に相談してみるとよいでしょう。
保険料の納付要件
年金保険料の納付状況が一定以上であることが必要です。
- 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上年金保険料を納めていること。
- 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納期間がないこと(直近1年間が保険料納付済み・免除・学生納付特例などの猶予・または年金に加入しなくてもよい期間であること。)
のいずれかを満たす必要があります。また、2.の場合、初診日が令和8年3月31日までにあること、初診日が65歳未満にあることが必要です。
障害認定日の要件
うつ病等の精神障害の場合、初診日から1年6カ月経った日を障害認定日といいます。
この日の状態で障害年金を受ける程度の症状かどうかを審査します。支給が決定すれば認定日の翌月分から障害年金を受け取ることができます。
障害認定日に症状が軽くて障害年金を受給できる障害状態になかった人は、その後65歳に達する前日(65歳の誕生日の前々日)までに、その障害の状態が悪化し、障害年金を受給できる状態に該当するようになったときは、本人の請求により受給権が発生し、その請求の翌月から障害年金が支給されます。
※日本年金機構の障害認定基準(うつ病・双極性障害=気分(感情)障害の場合)
障害の程度 | 障害の状態 |
---|---|
1級 | 気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの |
2級 | 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 | 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その症状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働が制限を受けるもの |
障害年金の額
障害基礎年金
障害基礎年金は20歳前の年金未加入、20歳以後の無職の人を含む学生、専業主婦、自営業といった国民年金に加入中に初診日のある傷病が原因で障害状態になった方等に支給される年金です。
※障害基礎年金の額は、定額で次のようになっています(令和6年度価格)
- 1級障害基礎年金=1,020,000円
- 2級障害基礎年金=816,000円
※障害基礎年金を受ける人に子がある場合は、子の加算が行われています。
・子の加算額
障害基礎年金を受けられる人に生計を維持されている、18歳到達年度の末日(3月31日)までの子、または、20歳未満で1級・2級の障害の状態にある子がいるときは、1人目と2人目の子については、1人につき234,800円、3人目からは1人増すごとに78,300円を加えた額が加算されます。
障害厚生年金
障害厚生年金は、サラリーマンなど厚生年金に加入中に初診日のある傷病が原因で障害状態になった方に支給される年金です。
※障害厚生年金の額は、障害の程度に応じて、報酬比例の年金額に一定の率をかけた額で、1級・2級の障害厚生年金には配偶者の加給年金額が加算されます。
※1級・2級の障害厚生年金を受ける人には、同時に国民年金からも障害基礎年金(1級・2級)が支給されます。障害基礎年金の額は、1級1,020,000円・2級816,000円で、それぞれ子の加算額が加算されます。
- [1級障害の場合]
報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給年金額+1級の障害基礎年金額+子の加算額 - [2級障害の場合]
報酬比例の年金額+配偶者加給年金額+2級の障害基礎年金額+子の加算額 - [3級障害の場合]
報酬比例の年金額(最低保証額612,000円)
配偶者の加給年金額は、1級・2級の障害厚生年金を受けられる人に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合に、234,800円が支給されます。また、3級の障害厚生年金の場合、障害基礎年金が支給されないことから、報酬比例の年金額として計算した額が612,000円に満たない場合は、最低保証額として612,000円が支給されます。